怖い?楽しい?「喫茶 伴天連」お化け屋敷みたいな純喫茶(広島県東広島市)

広島県東広島市西条町にある「喫茶 伴天連」は、普通の喫茶店とは一風変わった喫茶店としてテレビで何度か紹介され、全国的に知られています。広島県民や山口県民は免許を取ったらまず山口の「山賊」に行く、というのが定番ですが、伴天連も人気のドライブスポットです。

 

アクセス

伴天連は市街地から離れた山の中腹にあるため、車かバイクで行くのがおすすめです。新幹線駅の東広島駅からは歩いて35分ほどですが、坂道が多いので結構きついです。ここから行くならタクシーを利用するといいかもしれません。

伴天連へは、西条の市街地から2号線で少し東方面へ、下三永の東広島天文台へ向かう広島カンツリー俱楽部西条コースの間の道を行きます。その道すがら、今は閉鎖されて廃墟となっている西条グランドホテルや民宿があり、すでにちょっと怖い。

伴天連 駐車場からの眺め

伴天連は山の中にあるので、真夏でも市街地より涼しいです。駐車場の横にはテラス席があり、そこからの眺めはとてもいい。

でもこれから行くのはこっち↓

伴天連 外観

木々が生い茂っていて暗いですが、右側に見える建物がお店です。

 

庭にも怖くて面白いものがたくさん

伴天連 入口

見えるかどうかわかりませんが、奥の柱の上にすでに生首が待ち構えている。

おっかなびっくり……行ってみましょう。

伴天連 三途の川

三途の川……。仕方ないので渡ります。

後でマスターに聞いた話では、「三途の川はね、結構映るんだよ」とのこと。写真を編集しながらドキドキしましたが、何も映っていないようです。どうでしょう、何か見えますか?

三途の川の左手には、卑猥な鹿威し。このように、庭には先代マスターが収集したり手作りしたりした品がたくさんあります。

伴天連 庭

髑髏が歓迎してくれていますね。

伴天連 店舗入り口

お店の入り口はこの矢印の先です。この短い通路にも仕掛けがあり、初めて来られる方はちょっと声を上げてしまうかも?

伴天連 古井戸

お店の扉の前で骸骨が顔を出しています。この上にもあるものがあります。ぜひ顔を頭上に向けてみて。

 

アートな店内へ

ドアを開けると、「いらっしゃいませ」という機械的な声が聞こえるのですが、何より最初に怖いのは店内の置物などではなく、真っ暗で何も見えないこと。真夏の日差しの中から暗い店内に入ったため、目が暗さに慣れず、足下もおぼつかない感じです。

入口すぐの天井からぶら下がる長い髪の毛(実際は動物の毛)をかき分け、「こっちこっち」というマスターの声を頼りにカウンターへ。

伴天連 店内

お店の中はこんな感じで、なかなかアーティスティックです。目が慣れてくると見えるのはカラフルな照明と、おしゃれな飾り、天井からぶら下がる生首、骨、動物の皮、剥製などなど。画像は編集で少し明るくしていますが、実際はもう少し暗くて見えにくいかもしれません。

伴天連 カウンター

こちらはカウンターからお店の入り口側を見た写真。いくつか生首がぶら下がっています。これらを暖簾のようによけながら進む。

伴天連 テーブル席

カウンターのほかにテーブル席もあります。伴天連は置物だけでなく家具にもこだわっていて、カウンタテーブルやテーブル席のテーブルは一本の丸太から切り出したものだそう。

 

今は普通の喫茶店メニュー

伴天連 メニュー表

お店の雰囲気とは違い、メニューはいたって普通の喫茶店メニューです。

伴天連は今のマスターのご両親が創業され、今年で60年。先代夫婦はもともとバーテンとホステスをされていて、結婚後に喫茶店を開いたそうです。数年前までは先代マスターが切り盛りされていましたが、亡くなってからは今のマスターに。

先代奥様がいたころのメニューはかなりトリッキーで、実物はちゃんとした飲み物でも「いもむしのジュース」「うんこの煮汁」「ゴキブリのしぼり汁」みたいな名前だったそう。「その名残で、グーグル検索で「東広島 うんこ」で検索すると伴天連が出るんだよ(笑)」とはマスター談。お店までの道がわからないというお客さんに電話で「東広島 うんこ」で検索するように言ったそうです。

メニューはドリンクと軽食を一緒に注文すると100円引きに。おすすめのドリンクはココア(かつて「うんこの煮汁」だったもの)とカフェオレ、クラッシュアイスだそう。ホットのカフェオレはウインナーコーヒーになっているとのことで、筆者はカフェオレとミックスサンドを注文しました。

コーヒー サイフォン

中央奥に見えるでしょうか。コーヒーはサイフォンで淹れられる本格的なもので、忘れていたけどそういえば純喫茶なんだ、と思い出させてくれます。

ミックスサンド

ミックスサンドもできたてを提供してくれます。温かくてふわふわでおいしい。マスターはその支度のため何度か店の奥に消えるので、「私をここに一人にしないでくれ……」と思いながら待った甲斐があるというものです。

カフェオレ

カフェオレ(ホット)と、奥には「はい、青酸カリ」と言って渡された角砂糖。ウインナーコーヒーはクリーム自体が甘かったので、青酸カリは入れませんでした。

 

古物は貴重なものも多い

「伴天連」という店名は、お寺でつけてもらったものだそう。マスターに聞くと「親指」という意味だったみたい、とのこと。聞いた話では中世に伝来したキリスト教宣教師・神父を意味する「パーテレ」の当て字の「伴天連」だということでしたが、そうではないみたい。まあ、お寺の住職が「伴天連(神父)」と名付けるのも変な話です。しかし、マスターが調べても「伴天連」に「親指」を示す意味はなかなか見つからないので、本当のところはどちらの意味で名付けられたのかはっきりしないようです。

先ほども触れたように、伴天連にある品物は先代マスターが集めたものや作ったものがほとんど。先代マスターは古物が好きで、それを知るお客さんが情報をくれたり、品物を譲ってくれたりして、どんどん貴重なものが増えていったそうです。

動物の骨

こういった動物の骨や、そこら中にある皮、剥製などはすべて本物。お店のドアの取っ手も牛の大腿骨でつくられています。

先代マスター自らがつくった剥製なども多く、飼っていたアヒル、飼っていたサルも剥製になっています。また、カウンターにはウサギの足のキーホルダーもぶら下がっていました。

下の画像の右端に見えるのがサルの足。

剥製など

また、怖がる方もいるかと思うのでアップでは紹介しませんが、この画像の中央奥にぼんやり光って見えるものも貴重な品物。

南アメリカの先住民族「ヒバロ(マスターの話では「ヒバ族」)」には、敵と戦って切り取った首を復讐行為として「ツァンツァ」と呼ばれる干し首に加工する風習がありました(現在は行われていない)。同じような風習はほかの国にもあります。

このツァンツァは頭蓋骨を抜いてつくられるので、かなり小さく、握りこぶしくらいのサイズ。これはお守りして扱われたようです。ギリシア神話に登場する怪物メドゥーサの首もアレクサンドロス大王の胸当てに描かれていたり魔除けとして広まったりしていますが、そんな感じでしょうか。

ツァンツァは19世紀ごろからヨーロッパ人を中心に需要が高まり、交易の対象となり、今は世界各地の博物館で見ることができます。

伴天連にあるものを大学の専門家に見せたところ、「本来ならこんなところにあるようなものじゃない(笑)」と言われたそう。

踏み絵

ほかにも、本物の踏み絵があったり、珍しいものがあちこちにあります。

 

サービス精神旺盛なマスターも魅力

お店の中には、「遺言書」と書かれたノートがあり、訪れたお客さんが自由にコメントを書くことができます。こういう細部まで芸が細かい。「青酸カリ渡してるから、早く遺言書かないといつ死んでもおかしくないってね(笑)」などと言うマスター。青酸カリどころか、来るときに三途の川を渡っているので、すでに死んでいたとしても不思議ではない……。

なんだかんだマスターと二人で1時間ほどおしゃべりを楽しみました。近隣の心霊スポットの話、恋愛、時事問題などなど、話題の幅がとても広い。その間、気を抜いた頃に頭上から生首が降ってきたり、大音量の悲鳴がきこえたり、マスターの匙加減であれこれと驚かせてくれます。ちなみに、トイレにも似たような仕掛けありで、悲鳴ポイントは盛りだくさんです。

しきりに「真面目にやってますからね」と言うマスター。しゃべりながらも、お客さんを楽しませる(怖がらせる)さまざまな仕掛けでサービスを欠かしません。

ドライブ、ツーリングがてら、ぜひ立ち寄って、お店の雰囲気やマスターとのおしゃべりを楽しんでみてください。

 

店舗情報

喫茶 伴天連(公式ツイッター:@bateren2

所在地:広島県東広島市西条町下三永730−289
アクセス:西条駅から車で約17分。東広島駅から車で約5分。
TEL:082-426-0024
営業時間:10:00~19:00
定休日:月曜日
駐車場:あり

 

※この記事の情報は2022年8月時点のものです。情報は変更になる場合があります。

ライター 東 滋実

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