土砂災害被災地の川でトンボ探し|地球派宣言

秋に飛んでいるイメージの強いトンボですが、広島市安佐南区の古川(ふるかわ)ではほぼ1年中見ることができます。この場所でトンボの調査をしているのは、市民グループ「古川トンボしらべ隊」のメンバーです。

古川トンボしらべ隊のメンバー 古川トンボしらべ隊のメンバー

西村浩美(にしむら・ひろみ)代表は「トンボのヤゴと成虫が、いつどのくらいの大きさのものが生息しているかを調べています。これまでに44種類のトンボが生息していることがわかっている」と話します。

古川トンボしらべ隊西村浩美代表 古川トンボしらべ隊西村浩美代表

多くのトンボは水辺などで産卵し、幼虫のヤゴの間は水中で暮らしています。西村さんによると、古川にはこの場所で育った成虫だけでなく、別の場所から飛来した貴重なトンボも数多く確認されているそうです。西村さん、さっそくトンボを見つけました。

トンボを見つける西村さん トンボを見つける西村さん

オスの足の所に「軍配」のようなものがあることから、その名が付いたグンバイトンボ。国の準絶滅危惧種に指定されています。西村さんによると、グンバイトンボは植物の根に卵を産みますが、川の内側に根を張っている植物が多くあるので、古川はグンバイトンボにとって住みやすい環境なのでは、ということです。

グンバイトンボ グンバイトンボ

この日は、あいにくの雨でトンボがいつもより少なかったものの、上流に向かって歩いて行くと、ショウブの葉に黒いトンボを見つけました。ハグロトンボです。まだ羽が柔らかい、幼いトンボでした。

ハグロトンボ ハグロトンボ

季節ごとにさまざまな種類のトンボが飛来する古川ですが、8年前の広島土砂災害では壊滅的な被害を受けました。川底に多くの土砂が流れ込み、一時は、生き物が激減したそうです。川の土砂が撤去され、水質が改善し、災害から5年たってようやく元の姿に戻ったといいます。

しかし、今年はまた川の生き物が減っていると西村さんは言います。

広島土砂災害の時の古川 広島土砂災害の時の古川

トンボは環境の変化に敏感で、川の草刈りや護岸工事などでも影響が出ることがあるそうです。西村さんは「生き物がどこでいつ生息しているかを詳しく調べて、人間も環境整備を考えていくべきではないか」と話します。

現在の古川 現在の古川

トンボを通して古川の状況を見守り続けている西村さんたち。確認されたトンボなどの生き物は、今年度中に本にまとめて、地元の小学校などに寄贈される予定です。

川を歩くトンボしらべ隊のメンバー 川を歩くトンボしらべ隊のメンバー

 

広島ホームテレビ『5up!
地球派宣言コーナー(2022年6月15日放送)

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