【安芸高田市】溝が深まる市長と議会 市長から議員半減案が出された理由

【安芸高田市】溝が深まる市長と議会 市長から議員半減案が出された理由

先月、広島県安芸高田市の石丸市長が記者会見で突如表明した16人から8人への「議員削減案」。これには伏線があった。

石丸伸二市長 石丸伸二市長

石丸市長が目玉政策として発表した「副市長の公募」。民間企業などで5年以上の勤務経験があれば応募できるといったものだった。公募の目的は人口減少など大きな課題を抱える市の改革。4115人が応募し市長との面接などを経て、元商社社員で復興支援事業に関わる団体職員の30代の女性が選ばれた。しかし、議会は「本人の能力も実際に会ったわけではないから何一つ把握できていない」「新型コロナの影響で財政が厳しい」などといった理由から反対が上回り否決となった。市長はこれらの反対意見に対して「内定者によるプレゼンを提案したが、前例がないと議会が拒否した」、「そもそもコロナ禍の一昨年6月に議会自らが副市長2人体制を可決した」と議会の矛盾を指摘し悔しさをにじませた。

さらに今年3月、議会は市長と議論することなく、副市長の定数を2から1に削減する改正案を可決。理由は「財政難」だった。「財政難が理由で、市長との議論もなく副市長が半減されたんなら、議員も半分にしましょうよ」これが今回の「議員半減案」提案への簡単な流れである。

副市長削減案を可決(3月)

迎えた採決の日。議員からは反対の声が上がる。

「独自の政治再建論をもって安芸高田市を実験台に使われるのはとても迷惑な話」(山本数博議員)

「まさに市民を議会を無視した暴挙と言わざるをえません」(先川和幸議員)

反対意見を述べる先川議員 反対意見を述べる先川議員

一方、こんな意見もあった。

「(議員半減は)議員と市民の覚悟を問う数字。8人が補い合って市民の意見の届く政治も不可能ではない」(熊高昌三議員)

賛成意見を述べる熊高議員 賛成意見を述べる熊高議員

結果、賛成したのはこの熊高議員のみ。114で否決された。否決されたことに対し市長は「議会の中にロジックがないことを再認識した。副市長削減の時にいっていた(財政難)はなんだったのか。このやり方が正しいとは思ってはいない。」

 

溝が深まる市長と議会。

石丸市長の就任から2年間安芸高田市議会を取材している記者は「現状、市長と議会の議論の場が減っていることは事実。ただ、若手の議員の中には市長の政治姿勢に共感して立候補した議員もいる。議会の側にも市長としっかり話をしようという人もいる。そういった議員たちが、議会と市長との議論の場を作ることが石丸市長の残り2年の任期に必要」と、政策面での議論ができるかが、今後の課題とした。

 

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