旧広島市民球場 残されていたライトスタンドついに解体

広島市のど真ん中に鳴り響く重機の音。イベント広場の整備に伴い撤去される旧広島市民球場のライトスタンドを解体する作業が5月30日から始まっています。

重機を使った解体作業 重機を使った解体作業

 

2008年広島市民球場最終戦 2008年広島市民球場最終戦

1957年、カープの本拠地として誕生した広島市民球場。原爆ドームの近くに建設され広島市民にとって〝戦後復興のシンボル〟となっていたこの球場では衣笠祥雄さんの連続試合出場世界記録、球場でのビールかけなど偉大な記録が次々と打ち立てられました。良くも悪くもファンとの距離が近い球場ではファンがグラウンドに乱入したり、フェンスによじ登ったり様々なハプニングも。多くの人に愛された市民球場でしたが老朽化が激しいことから2008年に51年の歴史に幕を下ろしました。

球場が解体された後も残されていたライトスタンドの一部もついに解体となりました。そのライトスタンドの解体を特別な思いで見守っている人がいます。球場のすぐそばで30年以上にわたってカープを見守ってきた喫茶店マリーナの元店主・中川公一郎さん。1978年に開業した「マリーナ」はカープの監督や選手、多くのファンらが集まる人気店でした。中川さんが特に印象に残っているのはカープをリーグ優勝4回、そして日本一に3回に導いた名将・古葉竹識さんとの思い出。監督時代、ホームゲームの日はほぼ毎日マリーナ通っていたそうです。

「うちで玉子カレーを食べてこれで負けないというゲン担ぎでこれが瞬く間に広がってうちに玉子カレーを観戦の前に食べてくれるファンの方が多かった。マリーナがにぎわうことができた恩人という感じです」と当時を振り返ります。そんな思い出の詰まった、球場の解体について納得していなかったという中川さん。解体工事が始まった当初は
喫茶店から定点撮影しインターネットで24時間中継する活動もしていました。

新井選手と中川さん 新井選手(左)と中川さん

旧市民球場がこの場所にあったという名残が消えてしまうことについて中川さんは「球場自体が無くなったのに、あの場所だけが何故か残されたままになっていて寂しい思いをしたんじゃないかな。(スタンドが)成仏できるんだなってそんな気持ちになりました」と語りました。中川さんはポツンと残されたライトスタンドを見るたび、〝仲間のところへ行って欲しい〟という思いを抱いていたそうです。

「(旧広島市民球場が)復興の象徴だったのになこの場所はという思いは今も変わらない。色々な人が色々な思いをもって、訪れて平和を思って復興を祝ってそんなことができる場所になれたらいい。」

 

 

ライトスタンドの解体工事は約2週間行われる予定で、YouTube「(公式)HOME広島ニュースチャンネル」で月曜~金曜(10時から17時)でLIVE配信もしています。思い出の詰まったスタンドと最後の別れに、ぜひご覧ください。

 

YouTube「(公式)HOME広島ニュースチャンネル」 https://www.youtube.com/channel/UCRnFGOp_mjaCYEhMzsE2iHA

 

ひろしまリード編集部

 

LINE はてブ Pocket