淡路島、日本発祥の神話「オノコロ島伝説」を紐解く旅/兵庫県

日本最古の歴史書「古事記」の冒頭を飾る「国生み神話」。

日本という国がいかにつくられたのかを伝えるこの神話の中で、伊弉諾尊(イザナギノミコト)・伊弉冉尊(イザナミノミコト)、2柱の神様が最初に作った立派な国土が、ここ「淡路島」なのだと書かれています。

「国生み神話」にはさまざまな説があり、淡路島にはゆかりの地とされる場所が点在しています。一体どこが伝説の場所の“正解”なのか……? あれこれ想像しながら、各地をめぐるのもまた旅の楽しみ。あなたも神秘に満ちた『国生み神話の島』淡路島で、日本発祥の地の神話「オノコロ島伝説」の謎を紐解きに出掛けてみませんか。

 

①日本最初の国土はどこ?「オノコロ島」を訪ねて

国生み神話によると、イザナギノミコト(男神)とイザナミノミコト(女神)が、まだ何もなかった大海原に天の沼矛(ぬぼこ)を下ろし、かき回した後に矛を持ち上げた際、滴り落ちた潮が積もって島となりました。

これが日本最初の国土となり、「オノコロ島」と呼ばれるようになりましたが、その所在地については諸説あり、淡路島全体を指すという説も含め、淡路島内だけでも「オノコロ島」伝説として伝わる場所がいくつかあります。ここでは3つのスポットをご紹介しましょう。

 

『絵島(えしま)』

『絵島(えしま)』

淡路島北部の岩屋漁港の片隅にある『絵島』。なんとも神秘的な独特の景観に魅了されてしまいますね。
絵島も「オノコロ島」伝承地の一つです。地質学的に珍しい約2千万年前の砂岩層が露出した小島で、岩肌の侵食模様が特徴的。

絵島(えしま)
住所/兵庫県淡路市岩屋字恵島884-4
絵島|あわじウェブドットコム

 

『沼島(ぬしま)』

『沼島(ぬしま)』

『沼島』は淡路島の南に浮かぶ周囲約10kmの島。沼島は南北に長い勾玉(まがたま)の形をしているちいさな島です。オノコロ島と言われる場所は数あれど、国生み神話に関連する地名やスポットが多く存在するという理由で、ここ沼島はその最有力候補地とされているんです。(沼島のパワースポットについては記事後半でまとめます!)

沼島へのアクセスは、沼島汽船(株)によって運航されている渡船を利用しましょう。渡船に乗ればあっという間に島の北西部に位置する沼島港に到着! 船は淡路島南部の土生港から一日10往復出ていて、片道の所要時間は約10分です。

沼島(ぬしま)
住所/兵庫県南あわじ市沼島2400
電話/0799-57-0777(沼島総合観光案内所 よしじん)
駐車場/あり(土生港の有料駐車場に停めて、渡船で沼島へ)
沼島への渡船運賃/大人:往復920円 小人:往復460円
沼島|沼島観光案内所

 

『おのころ島神社』背後にある小高い丘

おのころ島神社

『おのころ島神社』は、淡路島南部の内陸部にある神社で、高さ21.7mにおよぶ朱色の巨大な鳥居がシンボル。この鳥居は、平安神宮(京都府)や厳島神社(広島県)と並び日本三大鳥居の一つに数えられます。こちらも『オノコロ島』の伝承地として知られ、鳥居の背後にある小高い丘こそが「オノコロ島」そのものであると伝えられています。

おのころ島神社
住所/兵庫県南あわじ市榎列下幡多415番地
電話/0799-42-5320
参拝時間/終日参拝可(社務所は9:00~17:00)
駐車場/あり(無料)
https://www.freedom.ne.jp/onokoro

 

②イザナギノミコトとイザナミノミコトゆかりの地をめぐる

さて次に、伊弉諾尊(イザナギノミコト)・伊弉冉尊(イザナミノミコト)、2柱の神様が祀られているスポットをご紹介しましょう。

夫婦の創造神であることから、昔から、恋愛成就、夫婦和合のご利益があるとして人々に崇められてきた2柱。また、多くの神様を生んだことから、子授かりや、安産祈願のご利益もあるとされています。パワースポットとしても人気の場所を含め、ゆかりの場所をまとめます。

 

『伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)』

伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)

『伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)』は淡路島の中央部にある神社で、国生み神話に登場する天地創造の神、イザナギ・イザナミの二神を祭神とする聖地。

古事記・日本書紀には、国生み・神生みの大業を終えたイザナギ大神が、淡路島多賀の地に「幽宮(かくりのみや)」を構えて余生を過ごされ、住居跡地に御神陵(お墓)が造営された際、日本最初の神社として創始されたのが伊弉諾神宮と言われています。

 

本殿の右側には樹齢900年を越すといわれる「夫婦の大楠(めおとのおおくす)」があり、兵庫県の天然記念物に指定されています。
元は二株だったものが、結合して一株に成長したという珍樹で、天地創造の神であるイザナギ(男神)・イザナミ(女神)の二神が宿る御神木として信仰されており、安産・子宝子授けや夫婦円満の御利益があるとされいるんですよ。

 

陽の道しるべ

表参道を抜けると、左手に「陽の道しるべ」という日時計のようなモニュメントが。実は、伊弉諾神宮がある場所では不思議な現象が起きるとか。

伊弉諾神宮を中心とすると、春分・秋分の日には伊勢神宮の方角から日が昇り、対馬の海神神社の方角へ日が沈み、夏至には諏訪大社から出雲大社へ、冬至には熊野那智大社から高千穂神社へ日が動いていくのです。

伊弉諾神宮を中心とした太陽の運行ルート上にこれだけ社格の高い神社が並んでいるのは、単なる偶然というにはあまりにもできすぎで、「古代人が高度な測量技術を持っていたのだろうか?」と謎が謎を呼んでいます。伊弉諾神宮に足を運んだ際にはこのモニュメントも要チェック!

伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)
住所/兵庫県淡路市多賀740
電話/0799-80-5001
参拝時間/終日参拝可(社務所は8:30~17:00)

 

『おのころ島神社』

『おのころ島神社』

前述の通り「オノコロ島」の伝承地の一つ、巨大な鳥居が目を引く『おのころ島神社』は縁結びや安産などの御利益があるといわれ、毎日多くの参拝者が訪れる神秘のパワースポットです。

 

『おのころ島神社』

こちらは参道脇にある「鶺鴒石(せきれいいし)」。国産み神話によると、イザナギとイザナミの二神は、この石の上につがいのセキレイが止まり、夫婦の契りを交わしている姿を見て夫婦の道を開かれ御子様をお生みになられたとか。縁結びのパワースポットとして人気のあるご利益のある石です。

他にも、国土創造の際にイザナギ・イザナミの二神が降り立ったとされる「天の浮橋(あめのうきはし)」や、二神が創った五穀豊穣の沃土とされる「葦原国(あしはらのくに)」が境内の周辺にあり、日本の国土誕生にまつわる聖地を探訪できます。

 

『上立神岩(かみたてがみいわ)』

上立神岩(かみたてがみいわ)

最後にご紹介するのが、沼島の南東部にある『上立神岩(かみたてがみいわ)』。沼島の南側は太平洋の荒波をまともに受けるため、巨岩や奇岩が多いエリアなのですが、その中でも高さ約30mの『上立神岩』は際立つ存在です。

 

上立神岩(かみたてがみいわ)

よく見ると岩の中央部がハート型にくぼんでいるのが分かりますか?

実はこの『上立神岩』は、国生み神話のなかでイザナギとイザナミがオノコロ島に降り立ち、巨大な柱の周囲をまわって婚姻をおこなった「天の御柱(あめのみはしら)」であると言われています。つまりイザナギがイザナミにプロポーズした場所であり、まさに日本最古の究極の縁結びスポットとも言えるかもしれません。

 

▼記事提供元

瀬戸内Finder
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