脱プラスチック新法でホテル・飲食店も対策へ【地球派宣言】
4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」。
飲食店やホテルなどで無料提供されているスプーンなど12のプラスチック製品について、削減目標の設定や提供方法を見直すよう事業者に求めています。
広島でも飲食店やホテルが対策に乗り出しています。
対象のプラスチック製品広島のソウルフード、お好み焼き。
県内に9店舗を展開する「としのや」では宅配で使われるプラスチック容器を今年から試験的に紙に変えています。
持ち帰り用の紙容器としのやを運営するジブランドの吉岡忠晃(よしおか・ただあき)社長は「できることから始めようということで紙の容器に変更した」と説明します。
紙容器を手に説明する吉岡社長「としのや」では、年間30万食以上のお好み焼きを提供していて、そのほとんどでプラスチック容器を使っています。
5月20日からは全ての店舗の容器を紙に変える予定ですがコストは2倍以上になるそうです。
吉岡社長は「弊社だけでも(年間)30万食分使っていて、お好み焼きは広島のソウルフードですから、全体ではものすごい量のパックが使用されているということは間違いのない事実なので少しでもプラスチック容器のゴミが減るのではないか」と話します。
紙容器と従来のプラスチック製容器一方、大崎上島町にあるホテル清風館では、利用者に提供しているプラスチック製のヘアブラシや歯ブラシなどを別の素材に変更します。
吉野秀雄(よしの・ひでお)さんによると、従来のプラスチックの製品から生分解性バイオポリマーという素材に変更、万が一、海や土の中に落としたとしても分解されるのだそうです。
変更された歯ブラシを手に説明する吉野さん生分解性バイオポリマーは土の中に住む微生物から生み出された新しい素材です。
ストローを海水の中に入れた実験では約3カ月で分解され、ほとんどなくなったということです。
分解されたストローカネカ バイオプラネット事業部の吉川周希(よしかわ・しゅうき)さんは「従来のプラスチックは粉々になっていきますが、マイクロプラスチックとして半永久的に残っていくというのが海洋汚染の問題になっている。
こちらのグリーンプラネットは、微生物が生分解してCO2と水に分解されるのでマイクロプラスチックとして残ることがない」と説明します。
生分解性ポリマーを使った製品従来のものと比べ、見た目も強度も変わりませんが、コストは2割増えるそうです。
今月から始まった脱プラスチック新法では年間5t以上のプラスチックを使う大規模な事業者が対象で、ホテル清風館は対象ではありません。
従来品(上)と新素材の歯ブラシ(下)しかし、角南正之(すなみ・まさゆき)社長は「すぐ側に海水浴場があってそこに打ち上げられているペットボトルや分解されなかった発泡スチロールを見ながら何もしないというのはない。動かないとダメだろう」と考え、導入を決めたそうです。
ホテル清風館の角南社長砂浜に打ち上げられたプラスチックの数々。どこから流れてきたかわかりませんが、地元の住民などが片付けても繰り返し、打ち上げられてくるそうです。
浜辺に打ち上げられたプラスチック丈夫で、生活には欠かせないプラスチック。新しい法律が始まり、事業者が対応に追われる中、使う側にも変化が求められています。