密着1カ月!桜の開花の瞬間を撮影!【地球派宣言】
番組では3月初め、ソメイヨシノの鉢植えを用意し撮影を始めました。
実はサクラの花びらは前年の夏に作られ、成長しないよう休眠状態で年を越すそうです。
では、どのような条件がそろえばサクラは開花するのでしょうか。
県緑化センターの指定管理者で樹木医の正本大(まさもと・だい)さんに聞いてみました。
サクラの盆栽正本さんは「冬の間一定の寒さが続くと(花びらの成長を抑える)ホルモンの影響がなくなり『休眠打破』が起こります。
それから暖かく転じてくると花芽が膨らんできて開花に至る」とメカニズムを説明します。
説明する正本さん撮影開始から10日後。気温が上がり暖かくなってくるとサクラのつぼみが大きくなって緑色の葉っぱのようなものが見えてきました。
正本さんは「ちょうど花芽の成長を抑制するホルモンの影響がなくなった。休眠打破が起きたという事」と話します。
10日後のソメイヨシノ2週間後、さらに変化が。少しずつつぼみが開いて花びらが見えてきました。
正本さんによると「花が大きくなるために必要なのは温度で、あとはどれだけの温度、暖かさがあるかによって開花が決まってくる」のだそうです。
2週間後のソメイヨシノしかし、暖かかった気温が一気に下がるとサクラの動きが鈍くなります。
つぼみは大きくなるものの、一向に開花する兆しがありません。
実はソメイヨシノの開花にはある法則があるのだそうです。
開花したソメイヨシノ正本さんは「毎日の最高気温を足していき2月1日から600℃になったら開花をします。年により前後しますが、だいたいそのくらいで咲きます」と解説してくれました。
3月21日に開花宣言が出た広島の標本木。広島市中区の最高気温の合計は607.6℃と600℃を超えた日に開花しています。
標本木の開花宣言一方、撮影中のサクラは一向に咲く気配がありません。
これまで変化がなかった別のつぼみが大きくなり、ピンク色の花びらが見えてきました。
ピンク色のつぼみ正本さんによると「ソメイヨシノはよく、一斉に咲いて一斉に散ると言われますが、1本の木でも反射熱があり暖かい場所と寒い場所があるので、微妙に差が出る」とのこと。
満開のソメイヨシノそして、撮影開始から22日後。つぼみがゆっくりと動き始め、少しずつ開き始めました。
しかし、3時間経った所で日が暮れてしまいサクラの動きも止まってしまいました。
開花途中で止まったサクラ翌朝確認してみると、開きかけていた花びらが開いています。
このサクラ、夜中に開花したのです。
正本さんに聞くと「日が照っているから咲く咲かないというのではなく、サクラが咲くだけの十分な温度が確保されたという状況だった」と説明します。
開花したサクラの花びら開花の瞬間を逃すわけにはいかない。
夜中でも撮影できるよう照明を用意し、深夜もカメラを回し続けました。
照明を用意して撮影すると・・・人々が寝静まった後も、サクラの動きは止まりません。
照明をつけてからおよそ7時間後の午前2時すぎ、完全に花が開きました。
ほかの花も深夜のうちに開き始め気温が上がった昼過ぎに咲きました。
夜中に咲いたソメイヨシノ正本さんは「実験したのがマンションのベランダで風にさらされにくい場所にあったので夜でも温度の下がり方が小さかったと思います」と説明してくれました。
撮影開始から開花まで24日。カメラを通して見えたのは、天候や気温に左右されながら懸命に咲く姿でした。
開花したソメイヨシノ