捨てられるカキ殻でトイレをきれいに!【地球派宣言】

水道が通っていないスリランカや世界遺産富士山で、広島を代表する特産品を使ったスーパートイレが活躍していることをご存じですか?

スリランカに設置した浄化装置 スリランカに設置した浄化装置

福山市の会社が開発したこちらのトイレ。装置の中には約900個のカキ殻と活性炭が入っていて、1日300回トイレを使っても1週間で汚れを取り除いてくれるそうです。

導入された福山市のトイレ 導入された福山市のトイレ

一般的に公衆トイレで使われた水は水道や浄化槽に流しますが、下水道が通っていないこの場所では装置で浄化し、トイレの洗浄水に再利用しています。

タンクの中のカキ殻 タンクの中のカキ殻

永和国土環境の海外事業部長・岡本修次(おかもと・しゅうじ)さんによると「浄化槽の排水は酸性に傾いていてドブ臭のような臭いが出ますが、カキの殻には炭酸カルシウムが入っているのでアルカリ成分で中和させることで臭いがなくなる。さらに、カキの表面は複雑な構造になっていて、そこに微生物が住みついて浄化能力を上げる」のだそうです。

永和国土環境の岡本さん 永和国土環境の岡本さん

浄化中の水をくんで比較してみると、浄化槽を通ってきた水が濁っているのに対しカキ殻や活性炭を通ったあとは透き通っています。岡本さんは「最初に装置に入ってから約1週間で一番最後のきれいな水になる。トイレの再利用に使っていますが、イワナがすめるくらいの水質になっています」と説明します。

浄化中の水を比較 浄化中の水を比較

この装置、下水道が通っていない山のトイレなど700カ所以上に設置。自治体や企業からの依頼で年に5カ所程度新設されています。災害時に上下水道が途絶えた時でもトイレを不自由なく使うことができるので、水に困っている所に設置していきたいということです。

富士山の山小屋に設置された装置 富士山の山小屋に設置された装置

なそもそもなぜ、カキの殻に着目したのでしょうか。そこには広島ならではの理由がありました。岡本さんに聞くと「元々、カキ殻に水をきれいにするという機能があるという事はわかっていました。カキの殻が水揚げされて産業廃棄物として処分に困っていたので資源として有効活用しよう」と考えたそうです。広島を代表する特産品から生まれた循環システム。今後も活用が進みそうです。

装置に使うカキ殻 装置に使うカキ殻

 

 

広島ホームテレビ『5up!
地球派宣言コーナー(2022年3月30日放送)

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