【カープ道】逸材を見極めるカープの名スカウト松本氏が菊池・栗林獲得秘話を披露

今回の広島ホームテレビ『カープ道』は、数々の名選手を獲得したカープ東海地区担当のスカウト・松本有史(ともふみ)さんが番組初登場。「逸材を見極める!スカウト論」をテーマに、獲得裏話から選手の知られざる秘話までを赤裸々に披露。テレビ番組自体初登場という名スカウトから、とっておきの話が飛び出す。

カープ東海地区担当スカウト・松本有史(ともふみ)さん カープ東海地区担当スカウト・松本有史(ともふみ)さん

松本さんは広島県呉市出身。1999年に亜細亜大学からドラフト7位でカープ入団。即戦力の内野手としてルーキーイヤーに一軍デビュー。「同期はドラフト1位の河内貴哉。一つ上が1998年ドラフト6位の新井貴浩。同年のドラフト1位が東出輝裕。2位の井生崇光は現在カープの査定係。一軍の試合に同行して点数を付け、年俸を決める仕事をしている」という。

2005年に現役引退。その後スカウトに転身し、今年で17年目。これまで35人もの選手の獲得に携わってきた。その顔ぶれをみると、数ある新人記録を塗り替えた栗林良吏投手、打撃センスから天才と称される西川龍馬選手、去年悲願の初タイトル・最多勝を獲得した九里亜蓮投手、9年連続ゴールデン・グラブ賞受賞の菊池涼介選手など、そうそうたる顔ぶれ。

松本さんが獲得に携わってきた選手たち 松本さんが獲得に携わってきた選手

 

ルーキーイヤーの去年、鯉の守護神として1年間マウンドを守り新人王に輝いた栗林投手については、「高校時代は知らなかったが、大学1年生で投げるのを見て、球が速いピッチャーだなと思った。横振りの投げ方でボールが流れることが多かったが、社会人時代に縦の体の使い方ができるようになりコントロールが良くなった」と、プロ入り前を振り返る。社会人No. 1右腕と称された栗林投手を「1年目から10勝できる投球技術」だと猛プッシュし、ドラフト1位指名に。ドラフト会議で見事一本釣りを果たした時には、「控室でバンザイ」と大盛り上がりだったそう。仮契約後には、叙々苑で焼肉を楽しみながら「最初から最後まで一軍にいて、去年の森下(暢仁)みたいに新人王を獲れるようにがんばれよ」と激励したという。

スカウトの仕事は契約後も続く。新人選手をサポートするため入寮、そして新人合同自主トレにも帯同。春季キャンプでも担当した選手達をサポートする。時には佐々岡真司監督から相談を受けることもある。「キャンプ中に、佐々岡監督が“栗林は後ろでも投げられるか?“と聞かれたので“社会人1年目の時に、社会人の日本代表に選ばれ、後ろで結果を出しているので後ろでも大丈夫”」と答え、太鼓判を押したという。

監督から相談される事も 監督から相談される事も

1年目のシーズンを最高の結果で終えた栗林投手。新人王が決まった後、LINEで祝福すると「松本さんに指名していただいたおかげ」とすぐに返信があったという。「獲得した選手がタイトルを獲ることが嬉しい」と語る松本さん。ちなみに担当選手がタイトルを獲得しても、自身の“査定”には何の変わりもないとのこと。

「松本さんに指名していただいたおかげ」とすぐに返信 「松本さんに指名していただいたおかげ」とすぐに返信が

 

続いては、ずば抜けた才能で日本を代表する二塁手となった菊池選手。「長野県の高校(武蔵工大第二高校)だったので担当ではなかったのだが、その監督(大輪弘之さん)が亜細亜大学の先輩だったという縁で“うちのいい選手が中京学院大学に行くから見といてくれよ”と教えてくれた」と打ち明ける。

約束通り大学のグラウンドに見に行くと「足は速い、肩は強い。体は小さいが、ノックを見た時は忍者がグラウンドにいるという感じ。センターに抜ける球をヘッドスライディングして捕って、ヒザをついたままファーストにスローイング。これは凄えな。すぐプロで通用すると思った」。

ノックを見た時は忍者がグラウンドにいるという感じ ノックを見た時は忍者がグラウンドにいるという感じ

最初は、周りも育成でも撮れるだろうと言っていたが、他球団も菊池選手を見るたびにその良さがわかってきて、ドラフトが近づくにつれてスカウトの数が急増。「これではドラフト上位じゃないと獲れないと思い、2位指名を懇願した」。その結果、見事ドラフト2位で獲得。仮契約の時には「ゴールデン・グラブ賞を獲るようにがんばれ。カープは山本浩二さんが10年連続獲得している記録があるから、それを目指せということを言った」。

カープでは山本浩二さんが10年連続獲得 カープでは山本浩二さんが10年連続獲得

期待に応えて2年目のシーズンからセカンドのレギュラーに定着。なんとその年からゴールデン・グラブ賞を連続受賞している。「今9年連続なので今年10年目。10年連続のチャンス」と期待を寄せる。

松本さんに自己流の『スカウト術』を聞くと、《守備ではグローブの使い方がやわらかいかどうか》、《投げるんだったら手首のやわらかい投げ方ができているかどうか》を見るという。『逸材を見極めるポイント』は《ユニフォームの着方》。「心の乱れがあらわれる。また魅せるスポーツなので格好良く見てもらいたい」。さらにはストッキングの履き方にも注目するという松本さん。

「魅せるスポーツなので格好良く見てもらいたい」 「魅せるスポーツなので格好良く見てもらいたい」

 

次回は、菊池選手同様に、強靭な肉体で名スカウト・松本さんを唸らせた九里投手について聞いてみよう。

 

広島ホームテレビ『カープ道』(水曜深夜) 1月26日放送
ライター 湯谷葉子

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