【カープ】 9月月間MVP!後半戦絶好調の床田寛樹を覚醒に導いた先輩の言葉
「正直獲れると思ってなかったので、ちょっとびっくりしている」。飄々と答えるのは、セ・リーグ9月の投手部門で月間MVPを獲得した床田寛樹(とこだ ひろき)投手。広島ホームテレビ『ひろしま深掘りライブ フロントドア』では、今ノリにノっている鯉のサウスポー床田投手をフカボリ。覚醒を予感させる活躍のワケを探る。
※データはすべて10月9日O.A.時現在 ※以下、敬称略
床田寛樹(とこだ ひろき)投手
プロ5年目の床田。今シーズンは開幕ローテ入りし初登板で初勝利、幸先の良いスタートを切ったと思われたが、その後は波に乗ることができず。わずか1勝止まりで6月に二軍降格。ウエスタン・リーグでも思うようなピッチングができず、一軍から声がかからない日々が続いた。床田は「どうしても変化球に頼ってしまうのでストレートというよりも、変化球でかわそう、かわそうとしているので、それでいつもより(腕の)振りが遅くなってしまうのかなと思う」と今季序盤調子が上がらなかった要因について答えてくれた。
心が折れかけていたというその頃、ある先輩からの電話が床田を救った。「(九里)亜蓮さんから“最近どうか?”って電話がかかってきて、“もう1回体を鍛え直してみてもいいんじゃないか”と言われた」という。一緒に自主トレした後輩にもう一度その時の力強さを取り戻してほしいと願った故だ。
躍進の要因を語る床田投手
頼れる兄貴分からの助言で、自分の持ち味であるストレートに磨きをかけ、一軍復帰の時を待った。迎えたおよそ3ヶ月ぶりの一軍の舞台。生まれ変わった床田は、力強いストレートで相手バッターをねじ伏せていく。そして9月21日の巨人戦。立ち上がりから毎回のようにランナーを出すものの、あと1本を許さない粘りのピッチング。9回には先頭がエラーで出塁してしまうが、センター上本崇司のビッグプレーで流れを引き戻し、最後のバッターを三振にとると見事プロ初完封を達成した。
この試合、一つ心残りがあるという。「2年前に初完投をした時に、最後ゲッツーで終わって、初めてだったのでどうしていいかわからず、ロージンを触ろうとしたが、それはちょっと違うかなみたいなことがあって。(今回は)小林(誠司)さんを三振に取った時に、とりあえずグローブを取って握手しようと思ったが、ちょっとグローブを取るタイミングが早すぎて、ボールを右手で捕っちゃった。次もう1回そういう機会があれば、ちゃんとしたい」と、床田節で振り返った。
セ・リーグ投手部門で月間MVPを獲得した9月は、4試合に登板して3勝1敗。1ヶ月の失点はわずか3で、驚異の防御率0.93を叩き出した床田。「今シーズンあと何試合投げるか分からないが、1つでも自分が投げた試合に勝って、来年いいスタートが切れるように、いいシーズンにしたい」と締めくくった。
広島ホームテレビ『ひろしま深掘りライブ フロントドア』(土曜13:00) 2021年10月9日放送
ライター 湯谷葉子